北欧スウェーデンと聞くと、IKEAの家具やおしゃれな北欧インテリアを思い浮かべる方が多いかもしれません。
実際にスウェーデンの家庭を訪ねると、長い冬の時間を家の中で快適に過ごすため、住まいを心地よく整えている人が多く、その空間づくりには「自然への敬意」や「暮らしを大切にする文化」が深く根付いています。
冬が長く、太陽の光が貴重な国。
そんな環境で暮らしていると、春のまだ肌寒い日でも、太陽が出ればカフェのテラス席に自然と人が集まります。
日本にいた頃は紫外線を避けていた私も、スウェーデンに住んでからは「太陽のありがたさ」を心から感じるようになりました。
ここスウェーデンでは、
自然と共に生きること、自然に感謝すること、そして地球に暮らし続けるための選択を積み重ねること
が、日常の価値観として浸透しています。
ストックホルムで暮らし始めて9年。
私はスウェーデンという国が“なぜここまでサステナブルな社会を実現できているのか”を、生活の中から肌で感じるようになりました。
SDGsランキング上位の国で暮らして分かる、「サステナブル=特別なことではない」という感覚
スウェーデンはSDGs達成度ランキングで常に上位に入る国。
ただスウェーデンでは「SDGs」という言葉そのものはあまり聞きません。
それよりも、
「私たち人類が地球で暮らし続けるために必要な行動は何か」
という“本質的な議論”が日常の中に存在します。
スーパーの商品、ニュースのトピック、子どもの学校の取り組み、家庭での習慣──
そこら中に「持続可能な選択」が散りばめられていて、住んでいるだけで自分ごととして考えるようになります。
実は、SDGsのロゴをデザインしたのもスウェーデンのデザイナー Jakob Trollbäck。
象徴的なプロジェクトにも関わるほど、国全体にサステナビリティが根付いています。
スウェーデンが“世界トップクラスの環境先進国”になれた理由
ここからは、スウェーデンのサステナブル社会を支える制度・文化・仕組み を分かりやすく整理して紹介します。
① プラントベース(植物性)食品が「選択肢」ではなく“日常”
スウェーデンでは CO₂削減のため、肉の消費を減らす人が増えています。
そのためスーパーでは
-
プラントベースの肉・乳製品
-
さまざまなヴィーガン食品
-
オートミルク・アーモンドミルク
がずらりと並びます。
レストランやカフェ、学校給食でも植物性メニューが標準。
IKEAのベジソーセージも象徴的な存在です。
② 若い世代の意識が社会を動かす
国連でスピーチをした環境活動家 Greta Thunberg(グレタ・トゥーンベリ)さんもスウェーデン出身。
若い世代が積極的に気候問題に声を上げ、その意識が社会を動かしています。
③ 再生可能エネルギーが主流(スウェーデン全体で50%以上)
スウェーデンのエネルギー構成は、
-
水力:41%
-
原子力:29%
-
風力:約19%
-
バイオマス・廃棄物:8%
※電力の約60%以上は化石燃料フリー。
家庭から出た生ごみがバイオガスになり、ストックホルム市内のバスはほぼバイオガスで運行。
“家庭のゴミで街が動く”仕組みが成立しています。
④ デポジット制(pant)の徹底:回収率86%以上
ペットボトル・缶は、返却するとデポジットが戻る仕組み。
35年以上前から取り組まれ、国民の習慣として完全に定着しています。
⑤ 365日、いつでも捨てられる「分別ステーション」
集合住宅の地下や敷地内には必ずといっていいほどリサイクルステーションがあり、
-
ガラス
-
金属
-
紙
-
プラスチック
-
新聞
-
生ごみ
が細かく分別できます。
曜日・時間に縛られず捨てられるため、リサイクルのハードルが極めて低い。
⑥ EUの規制により、シングルユースプラスチックは全面禁止
フォーク・ストロー・カップなどの使い捨てプラスチックはすべて紙製・コンポスト素材へ置き換えられています。
⑦ “ゴミを輸入する国”スウェーデン(Waste to Energy)
驚くべきことに、スウェーデンは焼却設備が高性能すぎて、国内のごみだけでは足りません。
そのため毎年 約130万トンのゴミを他国から輸入。
-
ゴミを効率よく焼却
-
排ガスを丁寧に処理
-
電気・暖房として家庭へ供給
「廃棄物をエネルギーへ変える」循環が実現しています。
市民の声 × 科学データ × 透明性が、サステナブル国家を支えている
スウェーデンは1970年代から環境政策をスタートしており、
科学的根拠と市民の声をもとに、長期的ロードマップを描いてきました。
-
データに基づくレポート
-
政策の透明性
-
教育現場での環境意識の土壌づくり
-
市民運動の活発化
何十年と積み重ねてきた結果が、今日の“環境先進国スウェーデン”なのです。
では、私たちは何から始められる? 身近なサステナブルアクション
スウェーデンの例を見て
「私にはここまでできない…」
と思う必要はありません。
どこに住んでいても、誰でもできる“小さな一歩”があります。
✔ 疑ってみる
「本当に必要?」と一度立ち止まる。
✔ 電力会社を変える
再生可能エネルギーに切り替えることで、暮らしのCO₂を大きく減らせます。しかも日本では電話一本で切り替えられるのでとっても簡単です。工事も不要!
✔ 情報を知る
調べる・学ぶことが行動の第一歩。
✔ 買い物で未来に投票する
私たち消費者の“財布”には社会を動かす力があります。長く使いたいもの未来に残したいものを選ぶ権利と力があります。
北欧で学んだサステナブルな暮らしを、あなたの日常にも
「どうしたら自分たちの地球を、これからも“住める場所”として守れるだろう?」
この問いは政治だけでなく、社会、そして私たちの日常生活にもつながっています。
このブログでは、北欧スウェーデンで暮らして気づいた
サステナブルな生き方・考え方・モノ・場所・文化
を、現地在住者の視点で丁寧に紹介していきます。
あなたの暮らしがほんの少し軽く、豊かになるヒントをここから見つけてもらえたら嬉しいです。
Circuliv が大切にする“循環する暮らし”を形にした物語。
→ [ホテルリネンをアップサイクルしたトートバッグのストーリー]