我が家の2歳と4歳の子どもたちがよく口にするスウェーデンの言葉があります。それが 「Mysig(ミーシグ)」。一緒にソファーに座りながら、ぬいぐるみを抱えてふかふかモーフをかけながら「Mysig だね」とにっこり笑う姿を見ると、この言葉が持つ温かさを改めて感じます。
ミーシグとは「居心地がよく、心からリラックスできる状態」 という意味のスウェーデン語。
デンマークの Hygge(ヒュッゲ) や、英語の Cozy に近い感覚ですが、もっと日常に寄り添った柔らかいニュアンスがあります。
冬の寒い日にあたたかい部屋へ帰ってきて、暖炉の前でミルクやココアを飲んでホッとする瞬間。
お気に入りのブランケットにくるまれ、静かに心がほぐれていく感覚。
そんな ぬくもりや穏やかさ こそがミーシグなのです。
■ ミーシグは“空間”にも“時間”にも宿る、スウェーデン人の幸せの原点
ミーシグは、日常のさまざまなシーンに使われます。
ミーシグな空間とは?
例を挙げると、こんな雰囲気が“まさにミーシグ”です。
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暖色のライトやキャンドルの灯り
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手編みのブランケットや素朴なクッション
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木の温もりを感じる家具
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少し角が欠けたお気に入りのビンテージ食器
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セカンドハンドで見つけた味わい深い小物
派手さよりも「落ち着き」「あたたかみ」「自分らしさ」。
スウェーデン人は自分が心からリラックスできる空間をつくることに、とても価値を感じています。
ミーシグな時間とは?
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編み物をする時間
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森の散歩で thermos のコーヒーを楽しむ時間
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子どもやパートナーとお菓子作りをする時間
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ブランケットを膝にかけホットワインを飲みながら映画を見る夜
ブランドものや最新スポットではなく、
「何気ない日常をちょっとだけ豊かに感じる時間」
これこそが、スウェーデン人にとっての幸せにつながる大切な習慣なのだと思います。
■ もうひとつのキーワード「Lagom(ラーゴム)」とは?
スウェーデンのライフスタイルを語る上で欠かせないもう一つの言葉が、
Lagom(ラーゴム)。
意味は、
「多すぎず、少なすぎず、ちょうどいい状態」。
哲学的でありながら、日常会話でも本当によく使われるスウェーデンらしい言葉です。
ラーゴムが表す価値観
スウェーデンでは仕事においても生活においても、
「頑張りすぎない」「無理しない」「バランスが大事」という考え方が根付いています。
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多すぎる仕事はストレスになる
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少なすぎても退屈で物足りない
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だから“ちょうどよく働く”のが幸せ
お金も同じで、「稼ぎすぎなくてもいいけれど、足りなさすぎても困る。家族や友人と過ごす時間を確保できる程度がちょうどいい」という考え方が一般的です。
日常でのラーゴムの使われ方
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「ミルクどれくらい入れる?」
→「ラーゴムで」
(その“ちょうどよさ”は人それぞれなのに、なんとなく伝わるのが不思議。) -
「ビュッフェでは食べすぎずラーゴムがいいよね」
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「この音量、ラーゴムだね」
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「練習問題は全部やらずにラーゴムで次へ進もう」
具体的な量や数字を明確にしなくても
“ほどよい感じ” で伝わる。
これがスウェーデンらしい、ゆとりのあるコミュニケーションなのです。
■ ミーシグとラーゴムが、スウェーデンの幸福度の高さにつながる理由
2025年の World Happiness Report では、
スウェーデンは世界幸福度ランキング 4位。
一方、日本は 55位 でした。
スウェーデン人が大切にしている、
「無理せず、ありのままを受け入れる生き方」
それこそが心のゆとりにつながっているのではないかと思います。
完璧を求めない。
他人にも自分にも優しくする。
やりすぎないし、やらなさすぎない。
この“中間にある豊かさ”は、日本の「足るを知る」や「腹八分目」にもどこか似ています。
ミーシグとラーゴムを日常に取り入れることで、
私たちももっと心地よく、もっと楽に、
自分らしい幸せへ近づけるのかもしれません。
北欧の「幸せのヒント」をもっと知りたい方は、こちらの記事もどうぞ。
→ [北欧スウェーデンの循環型ライフスタイルを深掘りする]