スウェーデン人の働き方から見るウェルビーイング|4週間の長期休暇をとることが推奨され“働きすぎない”社会システムがある北欧

スウェーデン人の働き方から見るウェルビーイング|4週間の長期休暇をとることが推奨され“働きすぎない”社会システムがある北欧

2025年の World Happiness Report によると、スウェーデンの幸福度ランキングは世界 4
一方、日本は 55位 でした。この大きな差はなぜ生まれるのでしょうか?

「ウェルビーイング(Well-being)」とは、
身体的・精神的・社会的に満たされた状態 を意味する概念。

私は約7年間スウェーデン企業で働き、さらにストックホルムで生活する中で、スウェーデン的ウェルビーイングを支える“3つの働き方の特徴”があることに気づきました。


 1. 年齢も役職も関係なく“下の名前”で呼び合うフラットな組織文化

スウェーデンに来て最初に驚いたのは、
首相でも教授でも医者でも、全員が下の名前で呼び合う という風景。

日本のように「社長」「部長」「先生」「教授」といった呼び名は存在せず、
“さん付け”もありません。イギリスやアメリカなど英語圏であるようなMrやMsなどの表現もありません。

  • 上司でも同僚でも下の名前で呼ぶ

  • 役職ではなく、経験値と成果を重視

  • 年齢ではなく、対等な個人として扱う

このフラットさが、意見を言いやすい空気を生み、心理的安全性を高めていると感じます。

 

ミーティングにも“効率性の価値観”が徹底

  • 会議は時間ぴったりに始まり、時間ぴったりに終わる

  • 「結果が出ていればOK」という成果主義

  • 残業は評価されない

  • 金曜は16時頃からオフィスが空っぽに

そしてフラットな組織を支える文化が、フィーカ(コーヒーブレイク)

コーヒーを片手にスモールトークをしつつ、
プロジェクトの進捗、悩み、日常のことを自然に共有することで、
業務がスムーズに進み、信頼関係が深まっていきます。

 

2. “休むこと”も仕事のうち。4週間連続の休暇取得を推奨する国

 

日本では長期休暇を取ることに罪悪感を抱きがちですが、
スウェーデンでは休暇は労働者の権利であり、義務に近いものです。

私が働いていた職場では、春先に上司からこんなメールが届きました。

「みなさん、4週間ほど連続で夏休みを取ることを推奨しています。スケジュール調整をしますので事前に取得予定の日程を教えてください。」

スウェーデンでは業種にはよりますが有給が5〜6週間あり、
夏休み(約4週間)と冬休みまたはスポーツ休暇などにまとめて取得するのが一般的。

  • 何週間も連続で休んでOK

  • 誰も遠慮しないし、後ろめたさもない

  • 子どもの学校休みに合わせて家族全員で休暇をとる

  • チームで調整して、1ヶ月部署が完全停止することもある

職種にもよりますが、多くの仕事止まる夏のストックホルムを体験すると、
「働くために生きているわけではない」という価値観が文化レベルで浸透していることがよく分かります。

 

3. 社会制度が整い“求めすぎない文化”があるから、人生と仕事のバランスが取れる

スウェーデンは「男女平等指数(ジェンダーギャップ指数)」が世界で常に上位。
2025年は 6 にランクインしています。

1980年から職場での性差別は違法とされ、
政治・経営・取締役会でも男女比はほぼ半々。
待機児童もゼロ。

こうした社会制度が、
性別に関係なく家庭と仕事を両立できる働き方 を可能にしています。

ここまで来れたのは上の世代が男女ともに協力して社会を変えてきた賜物です。

 

家事・育児は“男女どちらもやるのがスタンダード”

私の職場では男性上司・男性同僚が、
週に2〜3回は15時に退社して子どものお迎えに行っていました。

  • 家事は性別に関係なくシェア

  • 無理なら外注

  • ハウスキーピングは税金控除で50%ほど安くなる

  • 冷凍食品や一品料理でOK、食事に過度な完璧を求めない

カップルの両方が努力してもそれでも子育ては簡単ではありません。

親戚が近くにいる場合は頼ったり、ベビーシッターやハウスキーピングを駆使して家族の時間を作ります。

「仕事を早く終わらせ、家族の時間を優先する」
そんな価値観が広く社会に受け入れられています。


スウェーデンの“働きすぎない”社会システムは、日常のあらゆる場所に現れる

スーパーマーケットでもレストランでも、
日本のような“お客さま第一”の姿勢とは少し違います。

  • 営業時間内に品出ししながら雑談している

  • 閉店20分前でも電気を消し始め、レジを閉める

  • 24時間営業はほぼ存在しない

  • 「翌日配送」などのスピードサービスはほとんどない

  • 行政手続きは時間がかかる(数ヶ月も普通)

  • カスタマーサポートなどは昼休憩を順番に取るのではなく業務を一時停止する

最初は「適当すぎないか?」と違和感や不便に感じるかもしれませんが、
この「急がない文化」が、人々の心を軽くし、ウェルビーイングにつながっていると実感します。

保育園のお迎えの時間が過ぎてしまいそうで走って向かったら、帰宅途中の先生に道端で会い「そんなストレス抱えないで、ゆっくりで大丈夫よ!」と言われました。


“仕事に人生を支配されない生き方”が幸福につながる

スウェーデン社会を一言で表すなら、
「頑張りすぎず、求めすぎない文化」

もちろん、やるときは全力で取り組む。
でも、休むときはしっかり休む。自分にも相手にも求め過ぎない。

スウェーデンはスタートアップなど新しいビジネスを始める人も多く、小さなスウェーデンから世界へと羽ばたいていく企業も多くあります。IKEAやSpofityなどグローバル企業へ成長した会社も数多くあります。全力で働く人ももちろんいます。

自分の人生と家族を大切にすることが、
結果的に仕事の質も高め、幸福度を押し上げているのだと思います。

働く環境は人生の大きな要素。

全てを日本の生活に当てはめることは簡単ではないかもしれませんし、それが日本にあっているとは限りません。ですがスウェーデンの価値観から学べることは、少なくないように感じます。

 

北欧の幸せの価値観をもっと深く知りたい方へ。
[ミーシグとラーゴムに学ぶ“ちょうどよい暮らし”の記事はこちら]

ブログに戻る

コメントを残す

コメントは公開前に承認される必要があることにご注意ください。