猫のしっぽの形をした黄色いパン「ルッセカット」、スパイス香る甘いホットワイン「グロッグ」で街中がクリスマスモードに

ストックホルムの旧市街ガムラスタンでは、11月下旬になると Julmarknad（ユールマルクナド／クリスマスマーケット） が開かれます。
木製の屋台が整然と並び、まるで時代をさかのぼったかのようなレトロな雰囲気。
雪景色に映える赤い屋台、香ばしい匂い、温かい光。
派手さはないけれど、北欧ならではのぬくもりに満ちたクリスマスマーケットです。

屋台には、的当てゲームや砂糖でコーティングしたアーモンド、ハムやマスタード、ジャムなどのクリスマス食材、
そしてスウェーデンの定番炭酸飲料 Julmust（ユールムスト）、羊毛の靴下や手袋、オーナメントなどプレゼントにぴったりな品々が並びます。

一番の人気は「Glögg（グロッグ）」

寒さ厳しいストックホルムの冬。
旧市街の広場で行われるクリスマスマーケットでは、スウェーデンで親しまれているホットワイン「Glögg（グロッグ）」の屋台に人が集まる理由がよくわかります。

一般的なグロッグは、

• 赤ワイン

• 砂糖

• オレンジの皮

• スパイス（カルダモン、シナモン、クローブなど）

• 仕上げにアーモンドとレーズン

を加えて温めたもの。

甘く温かい一口で、冷え切った体がふっとほどけるような感覚になります。
大きなマグではなく、小さなグラスで少しずつ楽しむのがスウェーデン流。

市販の「スパイス入りグロッグワイン」も種類豊富で、スーパーにずらりと並びます。
アルコール入り・ノンアルコールの両方があり、子どもも一緒に楽しめるのが嬉しいポイント。
家族や友人と“グロッグ飲み比べ”をする人も多いほど、この季節の定番となっています。

冬のフィーカに欠かせないサフランパン「Lussekatt（ルッセカット）」

スウェーデンのクリスマスシーズンといえば、黄色い猫の尻尾の形をしたサフランパン「ルッセカット」。

ふんわり甘い生地にサフランの華やかな香り、レーズンがアクセントになった冬の定番。
パン屋、カフェ、スーパー、コンビニなどあらゆる場所で焼きたての香りが漂い、思わず足が止まります。

特に駅のコンビニで焼いている時の香りは“反則”。
焼き立てを見つけると、つい手が伸びてしまいます。

スウェーデンに来るまでは、サフランといえばパエリアやパスタに使うスパイスという印象でした。
甘いパンにサフラン？ と驚きましたが、その相性の良さにすっかり魅了されました。

手づくりルッセカットの時間は、冬の小さな贅沢

この魅力に惹かれ、私も毎年この季節になるとルッセカットを大量に焼くようになりました。

材料はシンプル：

• 小麦粉

• 砂糖

• 牛乳

• バター

• ドライイースト

• サフラン

• レーズン

発酵30-60分×2回、焼き時間はわずか10分ほど。
一度に30個ほど焼いて冷凍しておけば、いつでも気軽にフィーカ（お茶時間）のお供になります。

キャンドルを灯しながら、
サフランパンを焼き、
温かいグロッグを飲み、
ゆっくりと流れる冬の時間を味わう。

そんなスウェーデン式の過ごし方が、私にとって冬の大切な習慣になりました。

 11月最後の日曜日は「ファーストアドベント」

ここからクリスマスまで4週間。
街も人も一気にクリスマスムードに包まれ、
ルッセカットとグロッグがテーブルに並ぶだけで、
北欧の冬のあたたかさを感じることができます。

今年の冬は、週末にルッセカットを焼いて、
お気に入りのグロッグを片手に、ゆっくりフィーカしてみるのも素敵かもしれません。

素敵なホリデーシーズンをお過ごしください。